コンピュータ将棋王者決定戦優勝記
山下 宏(YSS)
1999年6月19、20日に有楽町の国際フォーラムに於いて「コンピュータ将棋王者
決定戦'99」が行われた。主催は将棋連盟で、国際将棋フォーラムの中のイベントの
一つとして行われたものである。CSA主催のコンピュータ将棋選手権との違いは、
全員が同スペックのマシンを用いて、アルゴリズムのみの勝負とする、という点で
ある。
マシンは富士通から貸し出された K6-2 350MHz 64MB の液晶付きパソコン。
これは、3月のCSA選手権で私が使ったマシン(Alpha21264 500MHz 256MB)と比べると
速度が半分以下であった。大会の趣旨は賛成だが、スペックが下がると棋譜の質も
下がるため、その点は残念である。
大会前夜。
より深く探索するほど評価値が下がる局面で、最善手でなく次善手を選んでしまう、
というバグが見つかり、原因を調べていたが分からなかった。大会の間に待ち時間
があるので修正できるかも、と思い、コンパイラを持参して会場に向かい、さっそ
くVC++5.0をインストールする。ただ、実際はバグは修正しきれずにあきらめたが。
貸し出されたパソコンにはたくさんの常駐ソフトがプレインストールされており、
システムモニタを立ちあげて無負荷時のCPUの割合を計ってみると、なぜか20%から
40%ほどを「何か」が使っている。「何か」は調べたが分からなかった。
YSSを走らせた時は、ほぼCPUの能力を完全に使い切っている(約25000局面/秒。
ちなみにAlpha21264だと60000局面/秒)ようだったので、速度的な心配はそれほど
ないものの、やはり不安である。
それが原因かは不明だが、今回、最大の惜しまれる点は金沢将棋が棄権したことで
ある。なんでも対局開始してから10数手でプログラムが暴走してしまうらしい。
森田さんもK6-2ではそうした事がある、と話されていたのでCPUに依存した問題かも
しれない。他にも問題は多発して、私が知っている範囲では、
・金沢さんのK6-2 350MHzでのハング
・Shotestの通信不可(COM1が使えなかった?)---> 手入力で
・永世名人の時間計測に誤差(30秒未満なのに40秒以上使ってしまう)
・KCC将棋でPentiumの場合には指しえない手を指す?
半数の4チームで問題が発生したのは多すぎる。本来なら全て正常に動いている
プログラムなので、次回からはマシンの事前貸し出しによるチェックが可能に
なって欲しい。
【1回戦 柿木将棋】
初手から33手目まで定跡で双方ノータイムで進む。横歩取り33角、という私は
まったく指さない戦型である。こんな将棋は中住まいにして、飛角を最大限に
働かせながら指すのが方針として相応しいと思う。だが、飛車を34に動かして
しまったため、この将棋は振飛車、と判断してしまい、駒組みがおかしくなって
しまった。
戦型ごとに駒組みの「形」を教えるのは可能だがそれではキリがなさそうである。
駒組みの特徴をつかんで、低く構える、位を取る、王を固める、といった判断の
基準を作りたいがよく分からない。
後手:YSS 9.4
後手の持駒:飛
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v金v銀 ・v角 ・v銀 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・v金v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 角 ・ ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ 金 玉 ・ 銀 金 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:柿木将棋
先手の持駒:飛 歩二
図1 ▲8六角(第55手)まで
図1から△26飛▲28歩△36飛▲47銀△35飛、と指して、1歩を取るためだけに飛車を
手放してしまった。私の感覚としては、
・1歩を取るだけで持ち飛を打つのは損。
・2歩取れるならOK。
・成れるだけでもOK。
で、飛車が成る価値が+260、持ち駒の飛の増加分が+230、1歩を取ると+200。
としていた。普通ならこの変化は損なのだが・・・。
この場合、
・歩切れの状態から1歩を取った。+15
・飛車先の歩が切れている。 +25
・相手に1歩を打たせた。 +5
で、1歩得(+200)+歩切れ解消(+15)+飛車先の歩(+25)+1歩を打たせた(+5) = +245
となり、持ち飛の増加分(+230)を超えてしまったためである。
飛車先の歩が切れている状態を標準で+0、切れていなければ-25、にすることで
この手は指さなくなったが、この変更が正しいかは不明。
局面の状態を減点にするか、加点にするかは難しい。
人間の場合は誉められた方が効果的?との話も聞くので加点したい気分でもあるが。
後手:YSS 9.4
後手の持駒:香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 飛v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v金 ・ ・v角 ・v銀 ・|二
| ・v歩 ・v歩 ・ ・v金v歩 ・|三
|v香 ・v歩v銀v歩v歩 ・v飛v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|五
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六
|v歩 歩 ・ 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 玉 ・ ・ 金 歩 ・|八
| ・ 桂 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:柿木将棋
先手の持駒:歩二
図2 △9七歩(第80手)まで
陣形の差と持ち飛を手放した事で、図2では既にYSSが悪い。
端を攻められて飛車を下ろされピンチ。ここではまだしも△82金で頑張る所であった。
が、YSSは△97歩。これは▲81飛成△71香に、▲73歩△同銀▲65桂△62銀▲73歩!と
いう痛打の順を読みぬけていたのが原因。
▲73歩の叩き自体は読んでいたのだが、その後、王手で角が取れる変化があり、
読みの深さが減ってしまっていた。
実戦は、▲73歩の叩きではなく単に▲85桂であったが、それでも敗勢である。
この辺でふと後ろからテレビで聞いた事がある声が聞こえる。
ふと振り返ると羽生4冠が観戦されていた。
「これは詰めろですね」「いや詰まないですね」と、コンピュータより素早く?
的確にYSSの詰を読み切っていられたのは印象的だった。
【2回戦 宗銀】
宗銀は3月の選手権では決勝リーグで全敗だったので楽に勝てるだろう、と
予想していたのだが、これがとんでもない誤算であった。
後手:宗銀
後手の持駒:金 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ 龍v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v金v玉 ・|二
| ・ ・v桂 金 全 ・ ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・v歩|四
|v歩v歩 ・ ・ 歩v馬 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 銀 銀 ・ ・ ・v飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・v角 桂 香|九
+---------------------------+
先手:YSS 9.4
先手の持駒:香 歩二
図3 ▲6八銀(第113手)まで
図3。次に△66角成!という鬼のように厳しい一着があり、それで終わっている。
(▲同金は△78馬で即詰、▲77香も△67馬▲同銀直△同馬で受けなし)
うわー、やめてくれー、と真っ青になっていたが、宗銀は暗く△34馬。
さらにYSSの▲73金に対して、△29飛成!。
大ポカにも等しいこの1手でYSSは何とか勝ちを拾った。
【3回戦 IS将棋】
後手:YSS 9.4
後手の持駒:桂
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v飛v金 ・v桂v香|一
| ・ 歩 ・ ・ ・v角v銀v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・v歩|三
|v歩 ・v銀v歩v歩v歩v歩v歩 ・|四
| ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五
| 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・|六
| ・ ・ ・ ・ 銀 金 桂 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 玉 ・|八
| 香 飛 ・ ・ 角 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:IS将棋
先手の持駒:桂 歩
図4 ▲8二歩(第99手)まで
延々千日手模様の手が続いた中、IS将棋が打開したのがまずく図4ではややYSSが
指しやすい。途中、棚瀬さんは「引き分けにしましょう」と千日手に乗り気であった。
ここでIS将棋は▲82歩、と嫌な垂れ歩を放ってくる。さて、どうしたものやら。
人間でも迷うこの局面で、YSSは△52金。歩を取りに行った。
昔なら途中の62金、が難しいためこの手は指せなかったのだが進歩が見られる。
ただ、実際に歩を取ったのは実に17手後であった。
「いつでも取れる」
「取った瞬間が悪い形」
「すぐに取らなくてもいい」
という目的意識のないコンピュータの欠点と言える。
後手:YSS 9.4
後手の持駒:歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ 飛 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v角v銀v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|三
|v歩 ・ ・v金 ・ 歩v歩v歩 ・|四
| ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩|五
| 歩 ・v歩v龍 歩 金 歩 歩 ・|六
| ・ ・ ・ ・v角 ・ 桂 銀 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・|八
| 香v圭 ・ ・ ・ ・ 金v銀 香|九
+---------------------------+
先手:IS将棋
先手の持駒:金 銀 桂 歩二
図5 △5七角(第150手)まで
上手に押え込みに行けば簡単に勝てたものを攻め合いの順を選んでしまって図5。
ここでIS将棋が46の金を▲47金、と引けばまだ難しかったが▲45金。
攻めに働かせたのだろうが以下、
△68龍▲38桂△39角成▲同玉△38銀成▲同銀△48金▲28玉△38金▲17玉△38龍、
までで必死がかかった。途中の▲38桂合も疑問手で▲48桂合であろう。
最後の△38龍は少し難しいが、全体としては単調な手順の寄せである。
コンピュータの終盤は強くなった、と言われるが、まだこういう長手数の手順を
正確に読めるには至っていない。
最後、△38龍を指す局面では、探索のみで評価値が「勝ち」になったため、自玉に
詰がない事を確認して指している。が、実際は▲31銀から詰ましにこられるのを
心配していた。詰はないものの、かなり気持ちわるい変化である。
しかし、IS将棋の次の1手はなんと投了!。
潔いと言えば潔いが、将棋としては詰ましに来て欲しかった。
【4回戦 KCC将棋】
注目の北朝鮮プログラム「KCC将棋」との対戦は、序盤の9手目か10手目で
通信エラーが発生。手入力での対戦となった。
他のKCCの棋譜も全て並べてみたが定跡は少しは入っているが、基本的に序盤の
駒組みは中住まいしか知らないようで駒組み合戦ではかなり弱い。
YSSとは相掛かりになり、序盤早々KCC将棋が飛金交換の勝負手を放つ。
殴り合いになるといきなり強くなるのがこのプログラムの特徴だろう。
端の桂香を拾われ、YSSは攻めの糸口がつかめない。何とか8筋にあやをつけて図6。
後手:YSS 9.4
後手の持駒:飛 銀二 桂
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・v金 ・ ・ 飛 ・v香|一
| ・ ・ ・v銀v玉 ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ 馬 ・|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・v角v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・|五
| 歩 歩 ・ ・ ・ 桂 ・ ・ 歩|六
| ・v歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七
| ・ ・ ・ 金 ・ 金 銀 ・ ・|八
| 香 ・v杏 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:KCC将棋
先手の持駒:歩四
図6 ▲2三馬(第71手)まで
この▲23馬が詰めろ角取り!で厳しい。しかし先手も金銀の壁形がひどい。
次のYSSの△51金、がしっかりした好手で、以下▲24馬に詰めろで△89飛、
と下ろせて勝ちになった。
以前は即詰だけは長手数を読んでいたが、今では簡単な13手程度までの詰めろなら
探索の中でも読めるようになっている。
詰めろがかかっている局面で相手が連続で王手をかけてきた場合、王手が途切れた
瞬間に最初の手順で詰むかを確認している。
なお、最終手はKCC将棋の投了ではなく、時間切れ(無限ループ?)によるものである。
1日目が終了して、何と3勝1敗が5チーム、という大激戦である。
金沢さんの棄権が響いている。
この後、「コンピュータは人間を超えられるか」というパネル討論(羽生四冠、
飯田5段、松原さん、森田さん)を聞きに行った。「封じ手の後には、コンピュータ
の電源は切っておいて欲しいですね」という羽生さんの意見には笑ってしまった。
後日、人から聞いた感銘した羽生さんのセリフは「読み切ることはできないが、
見切ることはできます」である。なるほど。やはり大局観が大事ですか・・・、
コンピュータには厳しいですね。
【5回戦 Shotest 3.2】
2日目に入り、初戦はイギリスのJeff RollasonのプログラムShotest。
先に結果を記そう。YSSの負けである。
プログラミング歴20年、チェスから転向してきた彼のプログラムに、私は「勝てる
気がしない」。
彼の恐るべきは、市販ソフトと40000局近く対戦させてその欠点、弱点を見抜く
システムである。
特に顕著なのが柿木将棋とYSSで、この2つのプログラムは1998年の第8回大会から
この大会までに共にShotestに3連敗。合計6連敗とむごい結果になっている(しかも
柿木とYSSは今回の優勝ソフトなのに!、である)。
他のソフトとの結果を考慮するとそれほど棋力に差があるとは思えないので、
前述のシステムが実に効果的に働いているため、と想像する。
余談だが、私も対抗して最強の将棋(Shotestの市販品)と自動対戦できるソフトを
開発した(「木偶の坊」という名前で私のホームページ
http://plaza15.mbn.or.jp/~yss/index_j.html からダウンロード可能である)。
ところが、最強の将棋と自動通信対戦させていると、実にあっさり勝つ。しかも
最高レベルに設定しているにもかかわらず、相手は時間をまったく使わない。
なぜだろう?、と調べてみたら驚いた。普通に手でマウスを使って指している場合は
最高レベルと対戦できるのだが、傀儡ソフト(木偶の坊)を使って自動対戦させよう
とすると、「勝手に思考レベルが最低まで下がってしまう!」のである。
これには敵ながらあっぱれ。脱帽である。現在も解決策は見つからずにShotestの
弱点発見は出来ずにいる。Jeffに聞いてみたら、「ほんとかい?、しかしGUIの部分
は他の人が作っているのでよく知らないんだ」という感じで軽くかわされてしまった。
こんな負かされ方は将棋の本質とは違う!、と信じたいのだが、いかんせん勝って
それを証明しないことには始まらない。もちろん、Shotestの基本的な棋力が高いの
があってこそ、の話なのだが。
後手:Shotest
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・ ・ ・v銀v玉v桂v香|一
|v香v飛 ・ ・v金 ・ ・v角 ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・ ・ ・v金|四
| ・ ・ ・ ・v歩 歩 歩 ・v歩|五
| 歩 歩 飛 歩 ・ 角 銀 歩 ・|六
| ・v歩 歩 銀 ・ ・ 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手:YSS 9.4
先手の持駒:歩二
図7 △7四歩(第88手)まで
YSSが横歩を取り、その取った飛車が戻れずに封じ込められて図7。
YSSの飛車が実に働き甲斐のある位置にいる。Shotestの作戦にはまったか。
後手も変な陣形(14金がひどい)だが、YSSの陣形もセンスがない。
こういう将棋をまとめて行くには初段程度の棋力が必要かと思う。
この後、飛車をいじめられて中央を押え込まれる展開になり勝負所がないまま敗れた。
終局時、双方の消費時間の合計は88分45秒であった。実は対局開始から90分を経過
すると引き分け!というルールがあっただけに、最後YSSが負けを読み切った数手を
ノータイムで指さないで29秒使っていれば、引き分けになっていた。勝負に辛くいく
ならそう作っておくべきだったか。
ただ、Shotestが手入力な事もあり、今回は素直に負けて良かったと思う。
【6回戦 永世名人】
最終戦の金沢将棋戦が不戦勝なので6回戦の永世名人戦が私の最終戦となった。
ただ対局開始からしばらくして、永世名人が40秒以上使っているのが分かったため
思考レベルを下げて再度対戦しなおして頂いた。結果としては勝ったが思考時間に
5倍程の差が出てしまい、これでは勝負と呼べない。
後手:永世名人
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v角 ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v金v香|二
| ・ ・ ・v歩v銀v金v銀v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
|v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:YSS 9.4
先手の持駒:なし
図8 △5一角(第48手)まで
永世名人で印象的だったのはその駒組みで、選手権では矢倉棒銀、今回は矢倉から
穴熊へ!という趣向を見せていた。優秀性は何とも言えないが斬新で面白い。
【最終戦】
最終戦前、ここまでの成績は、
柿木将棋 5-1
YSS 4-2
IS将棋 4-2
KCC将棋 4-2
で、ソルコフなどを問わない勝数のみによる順位なので、柿木将棋の優勝は決定。
YSSは柿木将棋が負ければ同時優勝。IS将棋、KCC将棋は勝って、柿木が負ければ
3人同時優勝、という状況であった。
最終戦、空き番の私は(対金沢将棋不戦勝)運営の方のお計らいで、私の優勝
決定戦?である柿木−宗銀戦の大盤解説を勝又5段と共にさせて頂く事になった。
一方の負けを願う解説者、というのもどうか?と思ったが、ありがたく宗銀の健闘
を念じつつ、時々チャチャを入れさせていただいた(個人的に勝又5段の解説は面白
い!と思うので、ぜひNHK杯などの解説を期待しています)。
将棋は宗銀が中飛車からうまく指し優勢に。そのうち勝勢に。
おお!これはひょっとすると!。
しかし、柿木も粘って将棋は相入玉模様へ。手数も200手を超えて、これは時間切れ
引き分けかなー、とその時の感想なぞを考えていたら、あらら!宗銀が詰ましてしま
いました。今回、際立っていたのが宗銀の強さだったと思います。
IS対KCCは千日手の引き分けだったので、柿木将棋とYSSが同率優勝、という結果に。
後127秒粘っていれば柿木さんの単独優勝だったのだが・・・。
優勝できた事はもちろんうれしいが、金沢将棋の棄権や、永世名人の思考レベル
ダウンなどを考えると、やはり素直に喜べない結果である。
将棋の内容もまだまだ不満な点が多い。
次回のコンピュータ将棋選手権までには、何としても序盤の一般化をして駒組み負け
しないプログラムを目指したい。
余談だが今回、マウスパッドまで統一されており、これが将棋連盟の名人駒が印刷
されたなかなかの一品。参加賞ということで大会後頂きましたが、これは将棋ファン
にはお勧めです。
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